お知らせ
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作成日:2019/05/29
「預貯金の仮払い制度」金融機関ごとの払戻し上限額は150万円に



現行制度

平成281219日最高裁大法廷決定により、相続された預貯金債権は、遺産分割の対象財産に含まれることとなり、共同相続人による単独での払戻しができないこととされました。現行制度においては、残された家族の生活費、葬儀費用の支払いや被相続人の借入金の弁済などに資金が必要であっても、遺言がない限り遺産分割が終了するまで、相続人単独での払戻しをすることはできません。

新制度

このような状況を受け、相続発生後の相続人の資金不足を解消するため、遺産分割における公平性を図りつつ、これらの資金需要に対応できるよう、遺産分割協議が成立する前であっても金融機関からの預貯金引出しを可能とする「預貯金の仮払い制度」が創設されました。

この制度については、@家庭裁判所で手続きする方法と、A直接、金融機関の窓口で手続きする方法とに大別することができます。

 @家庭裁判所で手続きする方法

家庭裁判所に遺産分割の審判または調停を申し立てたうえで、預貯金の仮払いを申し立てると、家庭裁判所の判断により他の共同相続人の利益を害さない範囲内で仮払いが認められるという方法です。

 A直接、金融機関の窓口で手続きする方法

各相続人が単独で、金融機関へ金額を払戻し請求ができる方法です。

ただし、次の(ア)の計算式で求められる金額かつ(イ)が上限額となります。

(ア)相続開始時の預貯金の額 × 1/3 × 仮払いを求める相続人の法定相続分

(イ)金融機関ごとに150万円

  (ア)の計算式によれば、相続人が引き出せる金額は、母親と子それぞれ普通預金100万円と定期預金250万円を合算した合計額350万円となります。

@家庭裁判所で手続きする方法と、A直接、金融機関の窓口で手続きする方法どちらが良いか?

創設された預貯金の仮払い制度の利用手続きには2つ方法がありますが、どちらの方法を選んだらよいのでしょうか。

@家庭裁判所で手続きする方法については、引き出しの上限額が定められていない点がメリットですが、家庭裁判所への申し立てなど煩雑な手続きとコストや時間が掛かるというデメリットがあります。

一方、A直接、金融機関の窓口で手続きする方法については、家庭裁判所の手続きも不要で簡便である点がメリットですが、引き出しに上限額があるというデメリットがあります。したがって、相続人の資金需要(必要な金額)に照らして使い分けすることになると考えられます。

 

施行日

201971日(月)(施行日前の相続でも手続きが施行日後であれば適用です。)

 

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